朝顔日記

あさがくるまえに。

感触

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 私は昔から、生きているものを触るのが苦手だった。特に、猫とか、犬とか。

 友だちで、犬を飼っている子がいた。「抱いてみなよ」と言われ、「どうやって抱いたらいいの?」と聞くと、「ここをこうやって……」と彼女は言った。

 私は恐る恐るその犬を持ち上げた。柔らかかった。熱かった。体温があった。指先に触れたところから、その皮膚の下に、硬い骨と、柔らかな内臓があることが伝わってきた。とても気持ち悪かった。このまま力を入れてしまえば、壊れてしまうんじゃあないかって。振り回せば、骨が折れて、内臓が破裂するんじゃあないかって。

 私はその感触に耐えられなかった。

 今でも生き物を触るのは苦手だし、犬の生々しい、生きている、という感触をこう思い出すこともある。

 赤ちゃんを抱き上げたときも同じだった。抱き方を教えてもらって、その可愛らしい物体を持ち上げると、腕に確かな重みと、まだ固定されていない首が、ぷらぷらとしていた。

 赤ちゃんの首を手で支えながら、私は吐きそうになった。簡単に折ってしまいそうで、怖かったのだ。柔らかくって、重くって、生きていることが気持ち悪かった。私は笑顔を必死に取り繕った。

 虫は、そこまで苦手じゃない。でも、蝶は無理だ。1度、指で羽を掴んだときに、力加減がわからなくって、潰してしまったことがあるからだ。とべなくなってしまった蝶。ぴくぴくと動くその姿が哀れで、そしてこれは私がやったのかと思うと、もう見ていることができなかった。

 どうして、みんな、生き物に触れることができるのだろう。壊してしまうかもしれないのに。

 いいなぁ。